新春対談 FINA水球委員会について

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新春対談 FINA水球委員会について

 


第2回目は、名誉会長の石塚さんと黒田さんの対談をお届けします。内容はFINAの水球委員会についてです。
 
石塚: 確か黒田さんは、私と一緒に水球の競技役員を務めた2000年夏に福岡で開催された「世界水泳選手権」からFINAと関わってきたのですね。
黒田: そうです。石塚さんと参加した「2000世界水泳・福岡」で日水連の水球委員会のメンバーとしてFINA水球委員会の窓口業務を担当してから関わっています。
 
【世界水泳のレセプションにて、黒田・(故)古橋日水連会長・石塚】
【世界水泳の日水連水球委員他】
 
「2000世界水泳・福岡」以降、水球委員会では外国部の部長を担当し、2005年からはアジア水泳連盟の水球委員に就任しました。FINAの水球委員に就任したのは2013年7月からで、現在に至ります。
   これまで日本からは、慶應大学OBの神田明善さん(故人)と平井顕吉さんがFINAの水球委員をされていましたので、私で3人目になります。
 
 
 

 【2016年8月:リオ・オリンピックでのFINA水球委員会メンバー】

   
石塚: FINAの水球委員会はどのようなメンバーで構成され、どのような活動をしているのでしょうか?
 
黒田: FINAには、競泳・シンクロ・水球・飛込み・オープンウォーター・ハイダイビングの6つの技術委員会があり、各委員会は幾つかの小委員に職務分担されています。
 水球委員会は、ロンツィ委員長(イタリア)・アミニ副委員長(イラン)に加えて5大陸から水球委員が選出されています。ヨーロッパから6名、アメリカ大陸・アフリカ・アジアから各2名、オセアニアから1名です。アジアは日本から私とカザフスタンから1名選出されています。この15名の水球委員のほかにイベントサブコミッティとしてヨーロッパとアフリカから各1名ずつが選出されていますので、総勢17名で構成されています。
 

    【2015年7月:世界選手権でのFINA水球委員会メンバー】
 
   私が属している小委員会は、ルール(解釈及び見直し)と過去2年間試行して来たテストルール(検証)です。 尚、このテストルールの内容は下記の通りであり、2015年の男女世界ジュニア選手権(20歳以下)と2016年の男女世界ユース選手権(18歳以下)で試行されました。
 ①男子のフィールドサイズを30mから25mにする。
 ②男子も女子球を使用する。
 ③1チーム7名から6名にする(フィールド5人、GK1人)。
 ④試合登録メンバーを13名から11名にする。
 ⑤2016年には更に以下の3点が追加検討されました。
 ⑥ショットクロック(攻撃時間)30秒→25秒
 ⑦退水時間 20秒→15秒
 ⑧大会登録選手13名とし、各試合登録は11名
   これに加えて2015年と2016年のワールドリーグでは男子のフィールドサイズを25mにするというテストが行われました。
 これらテストルールの検証結果を踏まえてFINA水球委員会がルール改定に関する案を作成し、2017年7月のブダペスト世界選手権時に開催されるFINA技術総会でルール改定が判断されます。ルールの改定は、総会決定の60日後施行というFINAの規約に則り、実施されます。
   新ルールが採用されたときは、日本においては新年度の2018年4月以降から新ルールが適用されることになります。
 
【2016年8月:男子世界ユース選手権(@モンテネグロ・ポドゴリッツァ)】
 
【2016年5月:ワールドリーグ・インターコンチネンタルトーナメント(@横浜)】
 
石塚: FINAにてこれらの見直しのテストが行われた背景と目的は何ですか?
黒田: 2014年3月にメキシコ・カンクンで開催されたFINA水球会議で、サッカー・バスケットボール・アイスホッケー・野球などのメジャースポーツの関係者の方を招き、水球に対する意見をいただきました。そのメジャースポーツの関係者からは、
 ①ルールがわかり難い
 ②笛が頻繁に鳴りすぎる。
 ③垂直的且つ格闘技的プレーより、もっとスピードがある方が面白い。
 
と言った意見が多く出されました。
 
    これらを踏まえ、FINAの理事会から水球委員会に対してルールの見直しの検討要請があり、2015年・2016年で上記7点の新ルール案が検証されてきました。
   新ルールの目的は、「わかり難いスポーツ」を脱却し、「スピディーで観て面白いスポーツ」の実施です。
 
 
 【イタリア代表のエース、ピエトロ・フィグリオーリ】
 
石塚: 新ルールの検証でどのような結果が得られましたか?
黒田: まだFINA水球委員会内で検証中なのではっきりしたことは言えませんが、フィールドが小さくなり、選手が一人少なくなり、加えて男子のボールが小さくなったため、点数が多く入るようになりました。
     また、男子に於いてはボールが小さくなったので、ハンドリングがよくなり、フィールドが小さいこともあり、ラストパスに繋がるパスの数が減り、長距離シュートも多くなりました。
     試合によっては30点台の得点も見られるようになり、ハンドボール並みの得点数になりました。そして、フィールドが小さいことからセンターフォワードのフロート・スタンディングプレーが多くなりました。
    これらの結果を踏まえてテストルールが本当に水球をよりスピーディーなものにするのか否かという点が検討されています。
 
 【2015年8月女子世界ユース選手権@ギリシャ・ボロス】
 
 【2016年11月:アジア選手権@東京】
 
石塚: 今年はこのようなインタビュー形式で黒田さんの活動を成城水泳会の皆さんに紹介していきたいと思います。本日はお忙しい中どうもありがとうございました。
 
黒田: どうもありがとうございました。